新世代アニメ雑誌「NEWTYPE」の思い出
1985年3月8日はアニメ雑誌「NEWTYPE」(ニュータイプ)が創刊された日です。
私は「大昔」ニュータイプの定期購読者であったので「ニュータイプとの出会い」の思い出を書いてみます。一部記憶が「あやふや」ではありますが。
NEWTYPE(ニュータイプ)とは
『月刊ニュータイプ』(Newtype)は、角川書店が編集、KADOKAWAが発行するアニメ雑誌。1985年3月8日(4月号)創刊。毎月10日発売。
アニメ雑誌『アニメック』の副編集長だった井上伸一郎が角川書店に移籍。テレビ雑誌『ザテレビジョン』のアニメコーナーを担当し、1984年には『ザテレビジョン』別冊でアニメ『重戦機エルガイム』のムックを出版するなど実績を積んだ上で創刊された。初代編集長は佐藤良悦。
創刊時アニメは冬の時代「前夜」
ニュータイプ創刊号表紙(1985年4月号)表紙は「ガンダムMKⅡ」
この創刊号、当時私は買いました!!(歳がバレバレ)。いやー懐かしい・・・もちろん現物は手元には残っていないのでネットで見つけた画像を引用させていただいています。
表紙を見ると当時放送直前だった「機動戦士Zガンダム」や角川映画の大作アニメ「カムイの剣」などが記載され、特集のインタビュー記事(だったと思う)には原田知世さんや野村宏伸さん、そして飯島真理さんの名前が!。たしか前年の夏に「超時空要塞マクロス 愛おぼえていますか」が公開されたと記憶しています。
内容は、というと「重戦機エルガイム」の最終回の記事(私の住んでいた所では放送がなかった)、放送直前の「機動戦士Zガンダム」の特集(私の住んでいた所では半年遅れの放送だった)、それと洋画「ブレードランナー」等のインダストリアルデザイナー、シド・ミードのガンダムMKⅡの特別イラストなどが記憶に残っています(イラストはハイザックだったかも)。
本屋で初めてこの雑誌の表紙を見てびっくりしたのは、雑誌名に「アニメ」が入っていなかったこと。当時のアニメ専門誌の名前は「アニメージュ」や「アニメディア」、「マイアニメ」や「アニメック」など直球でアニメ!だったのですが、この雑誌はそうではありませんでした。
【ニュータイプ】は「機動戦士ガンダム」に登場する用語で、当時は新しい物の考え方や認識能力をもった「次世代の人類」という意味で使われていたと思います(後の作品では超能力者的な描き方になりましたが)。
余談ですがこのちょっと前に「新人類」という言葉も世の中で流行りました。ニュータイプとはちょっと違って「新人類」は当時の大人から見て「何を考えているのか全く理解できない、常識からはずれた」若い世代を主に否定的に呼んだ流行語、でした。
このネーミング全然アニメらしくなく、しかしものすごく「アニメファン」向けの名前、カッコいい!と少年当時の私は思ったものです。
アニメ雑誌としてはちょっと(かなりかな)年齢層を上に想定した作り方だったと思います。表紙も見ていただくとわかりますが、当時のアニメのキャラクター・キーワードであったり、アニメ関係者名で表紙がびっしりと埋められていて今みてもデザイン性が高くてオシャレ、だと思います(一部記載記事の関連もありますが)。
なんというかこの雑誌がなかったら、ひょっとしたらアニメは「変わった人の趣味」で終わって、今の「ブーム」を超えた文化としての定着はなかったのかも。
若い人には信じられないでしょうが「アニメは変人の趣味」と思われていて、ガンダム等が流行した当時でも学校のクラスでアニメの話ができるのは私以外には友人の一人しかいませんでした(同じ学年でも5人いなかった・・・)。かなりイケていない「趣味」でそれを好きだった私自信も勿論そうでした(悲しいけど、これ現実)。
でもニュータイプの紙面の作り方からはそれを「壊したい」という熱量を当時すごく感じたことを憶えています。アニメはかっこよくて素晴らしい、と。それとイケテない私達にカッコよく「変わってほしい」というメッセージも雑誌の作り手からあの時は感じた気がしました。
でもアニメファン=イケテない人種ということだけは変えられなかったかも・・・(悲しいけど、これ現実)。
「ガンダムのブーム=アニメブーム」が終わりかけていたので、この雑誌が創刊されていなかったらアニメというサブカルチャーは今はなかったかも。90年代のその次のブームまで、継承されることはなかったと思います。
ジブリなど「オタク」でないアニメばかりになってしまったかも。大人向けでしょうが、本当のファン「大人オタク」向けのカルチャーとしてはどうなっていたでしょうか。
お台場に「ガンダム」が現れることはなかったでしょうね。
ガンプラ少年でもあった、過去の少年の私にぜひ伝えたい。そのくだらない「熱意」こそが歴史を変えるんだ、と。
いまではアニメは「クールジャパン」などともてはやされていますが当時はブームも終わりかけて、いや終わっていた当時にこのような「何ににもならない」(ヒドイ言い方かな)情報の発信は「ものすごく大きい熱意」が必要で大変なことだったのでは、と思います。
当時すでに誌面スタイルは「完成」していた
それと熱意だけでなく創刊号にして今の「紙面スタイル」と同じという先見性もすごい(オリジナルだから当り前?)。昨年買った号を読んだのですが、雑誌の構成が当時とほとんど変わっていない感じですね!。
大きめな「キャラクター」が入ったピンナップ記事、クリエイターのインタビュー記事や声優のエッセイ・ゲーム等の関連記事、そして永野護さんの連載漫画(笑)。なにもかも当時のまま。それだけ当時から尖っていた内容だったということかな。創刊号の連載漫画は「ファイブスター物語」ではなかったですが。
この創刊号、表紙だけを今見ても充分通用するデザインです。現在刊行されている号を見ても白地のシンプルな表紙は当時のままですがカッコイイ、と思います。
昨年30年以上ぶりに買った「ニュータイプ2017年7月号」(表紙はRE:CREATORSのセレジア)
おまけ
このニュータイプ、1985年3月8日が創刊となっていますが、私の記憶が間違っていなければこの一か月前に「準備号(0号)」が発行されていて関係者のみが入手可能、だったと思います。ニュータイプの創刊1周年の特集記事内で「0号」の存在がたしか紹介がされていたと記憶しています。
ネット検索では0号の表紙は「該当結果」がなかったのですが、このザ・テレビジョンと同じ聖戦士ダンバインの「チャム・ファウ」(でよかったかな)のイラストが使われており、後にこのイラスト画だけニュータイプの付録として付いた号が発売されたと思います。確か・・・(あやふや)本当に歳はとりたくないですね(笑)。
※ニュータイプの表紙と同様、イラスト絵の後ろにアニメ作品のタイトルが入っていますが「今期のアニメ」というわけではありません。当時1~3年以内に放送されたアニメです。
それだけ当時はアニメ作品の製作本数は少なかったんです。1985年当時、首都圏で見れる番組数をwikipediaで調べたら、たしか年間で30作品あるかないかでした。
だだし当時のアニメは2クールから4クールの作品が多かったと思います。2018年冬シーズンが子供向けも入れて約50作品だったと思うので今の製作本数は多すぎるのかもしれませんね(今は海外も視聴エリアとなっているので簡単には比べられないのかもしれませんが)。
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